サンドフレンドセオリー

仙台でベース弾いたりギター弾いたりドルヲタに興じてる男の「This is 駄文」 twitter ID: @teru_4st

私的名盤シリーズ其の1 2016年ベストバンド【Alexandros】 「EXIST!」

現在このブログを読んでるのは、twitterのフォロワーさんがほとんどかと思うので今更な感じがしますが、僕はZEBRA GAZEというROCKバンドでベースを弾いてます。何てことない、ミュージシャンの端くれです。知らない人は今後お見知り置きを。

 

さて、バンドをやることで日々音楽に接してる僕ですが、ここ数年新しい音楽のインプットが足りなかった、と反省しているのです。聴く曲はずっと好きなアーティストだったり応援しているアイドルの曲がメインでした。

そうなってしまった理由は、近年あまり心惹かれる音楽に出会ってないことが大きい。何というかバンド音楽も画一的でつまらない、流行りのジャンルやビートに迎合してるバンドが多くてダサい。だから耳が向かない。これは結構本音だ。

ただ、これは言い訳としては最低レベルだと自覚している。だって良い音楽は昔もいまも生まれてきたし、きっとこれからも生まれていくでしょう。それを見逃し聞き逃しているのはアンテナが低いからに他ならない。ましてや「心惹かれる音楽」を作らんとしている側の人間がそんなこと言う筋合いはないのだ。

 

そんなわけで、少し前から意識して最近の音楽を聴くようになった。そんな中で「このバンドは凄い!」と思ったバンドがいる。2016年現在、飛ぶ鳥を落とす勢いの[Alexandros]だ。

 

このバンドは前のバンド名[Champagne]の頃から、名前は知ってたけど曲は聴いてなかった。で、2015年にLUNASEAが主催した「LUNATIC FEST」に出た時の映像を見たのが最初の出会い。その時の印象は「ちゃんとしたロックバンドだな」ってこと。

僕の中でこれは超誉め言葉。UKからのルーツを感じさせる楽曲を手数の多いドラムに堅実なベースが盛り立て、ジャキッとしたギターが彩る。その上を英語と日本語を乱反射させる歌が泳ぐ。Vo/Gt川上洋平いわく「あまり意味は込めてない」と言う歌詞にどこか反骨精神を感じる。

ほぼ普段着普段のノリみたいなバンドも多いなかで、ビシッとした出で立ちでステージでのパフォーマンスもクール。非日常を演出してる。僕的にはそれだけで好きになる要素満載だけど、さらに「世界一のバンドになる」と公言している。それが一番素晴らしいと思った。

もはやミュージシャンですら現実志向で夢みたいなことを言う人は少ない。時代性もあるし、それについて僕は非難出来ない。でも、このバンドはそんな風潮おかまいなしに(いい意味で)大口を叩いてのける。そして着実にそのステップを上がってる。これは売れて当然だと思った。

 

 ロックのカッコよさに非日常さ、反骨の姿勢、それらを全肯定するクオリティーの楽曲達。それらを武器に日本のメジャーシーンを突っ切り、涯はグラストンベリーのステージまで駆け抜けていくんだろうな。

 

f:id:dj1000:20161216214633j:plain

11月に発売になったアルバム「EXIST!」を買った。全14曲入り、さらに特典で大阪城ホールでのLIVE映像付き。

1曲目の「ムーンソング」の澄んだ音像から一変、ドロス流HIPHOPとも言える「Kaiju」、チューニングを落としたギターがラウドに畳みかける「Girl A」と、序盤からジャンル分け不能な幕開け、間に都会感あふれる「Aoyama」や壮大なバラード曲「Nawe,Nawe」を挟み、心を鼓舞するようなストリングスとバンドサウンドが心地よい「NEW WALL」で締め。実にバラエティーに富んでるし、でもロックらしさは損なわれてない。[Alexandros]の筋がしっかり通った上で縦横無尽に広がってる印象。

特筆したいのは「Buzz Off!」「クソッタレな貴様らへ」のバンドの醍醐味が凝縮されたようなセクション。この2曲はクリック無しの一発録りだったようで、曲の導入部からスリリングな空気を纏って、ジェットコースターのように展開していく。いまやRECはおろかライブでもクリックを聴きながらの演奏が珍しくない昨今、もちろん一発録りで作られる作品は山ほどあるけど、現在形で成功してるバンドが、まるで「回帰」するような作品作りをしたのは興味深いなぁ。

 

ロックの定義なんか知らないけど、僕が考えるロックの良さを提示してくれるアルバムです。このタイミングで出会えてよかった。

 

他にもいろんな作品について書きたいから、【私的名盤シリーズ】として不定期に続けていこう。需要ないのは百も承知!